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新規就農者の声Voice of seniors
農業は一人では絶対にできません。地域とのつながりは絶大なる効力を発揮します!
取材日:令和4年1月13日
姫路市南部の市街化区域 兼田地区で軟弱野菜を施設と露地で周年栽培する就農5年目の岡本将司さんを取材しました。
「地域の問題を自分のチャンスに」
就農したきっかけは?
岡本氏:自分は農家の家で育ったのですが、全く農業に興味がなく、大手家具メーカーに就職しました。しかしある時、地域の高齢化が進み、耕作放棄地が増えているのを見て、地域を守る農業を「自分がやらないといけない」「自分しかいない」という勝手な使命感が出たのがきっかけです。
農業をするにあたっての意気込みは?
岡本氏:自ら実践し、農業の魅力を伝え、後継者を育成することが自分の責務と感じ、やるからには「地域の問題を自分のチャンスに変えてやる」という野心に火がつきました。
就農することへの家族の反応は?
岡本氏:自分の親が農家だったこともあり、就農することに妻からは大きな反対はありませんでした。ただ、親からは「わざわざしんどい農業をしに帰って来なくてもいいのに」と言われました。
「自分のスタイルをつかむ」
就農して苦労したこと、よかったことは何ですか?
岡本氏:苦労していることは、毎年天候が違うことですかね。昨年は上手くいったのに、今年はうまくいかない、といったことがよくある。ある程度の収量を見込んでいたのに出荷するものが足りないとか。その時々の状況に応じて対応できる知識と経験が必要と感じています。
岡本氏:よかったことは、自分がやっていることの評価がダイレクトに感じられることですね、地域の人や消費者とのつながりを肌で感じられるのは農業ならではの素晴らしいことだと思います。
農業を始める前と始めた後の農業へのイメージは変わりましたか?
岡本氏:思ったより儲からないな、ということですかね(笑)。いろいろと儲かるための工夫やチャレンジをしていかなければダメ。なので、今はひょうご農業MBA塾にも参加しています。自分の家は男三人兄弟で、全員が大学まで通わせてもらったのですが、農業でそこまでしてくれた親に感謝しています。
農業をしていくうえで気をつけていることは?
岡本氏:自分にあったスタイルを早く見つけることですね。自分は葉物野菜栽培が性に合っていると思っています。トマトやイチゴみたいに華やかではないけれど、短期間で収穫できるので、失敗してもすぐに挽回できる。リターンは少ないけれど、リスクも少ない。堅実に収入が得られる葉物野菜を中心とした経営が気に入っています。
「チャレンジを恐れない」
いろいろとチャレンジされているようですが。
岡本氏:はい、葉物野菜の周年出荷が経営の柱ですが、果菜類の生産も取り入れ、飲食店や個配、インターネット販売など販路の拡大に取り組んでいます。また、地域の伝統野菜を守るため「海老芋」の栽培普及も地域の生産者に師事をして始めました。
チャレンジの成果は?
岡本氏:取材等で海老芋栽培について取り上げてもらう機会が多くなり、海老芋とともに当園の認知度が少しずつ高まっています。インターネット販売でも海老芋と野菜のセットが好評を得ており、当園の1つの顔になってきました。
「つながる農業を意識する」
食農教育にも力をいれているとか?
岡本氏:地元小学校での講義や農業体験、中学生のトライやるウィークを積極的に受入れたり、地元保育園にも食材を提供しています。小学校でのなりたい職業アンケートで今までなかった「農業」に3票入ったと聞いた時は特にやりがいを感じました!将来、 1人でも多く子供たちが地域の農業を守ってくれるようになれば嬉しいですね。
地域の農業青年クラブも積極的に参加されているとか?
岡本氏:はい、HANDSというクラブに所属しています。クラブでは自分一人では気づかないような視点に気づいたり、新しい情報を入手しやすかったりと、経営をするうえで欠かせない存在です。もちろん、呑み仲間としてもつながりを大切にしています(笑)
これから就農する人に伝えたいことは?
岡本氏:農業は一人では絶対にできません。地域とのつながりを就農前から築くことをお勧めします。地域の信頼を得られたら、優先的に空き家や農地を紹介してもらえたり、技術支援をしてもらえることもあります。つながりは絶大なる効力を発揮します!
岡本氏:就農後は自分の経営スタイルを早く確立することが大切だと思います。何が良いか分からなければ、雇用就農という選択肢もありだと思います。アンテナは常に高くして、情報を自ら積極的に掴みにいく姿勢で、良いご縁の中で就農していただければ幸いです。
新規就農(令和4年1月取材時点)先輩DATA
氏名:岡本将司 住所:姫路市兼田 年齢:34歳
【就農から現在まで】 平成28.3 退職 平成28.4~ 神戸西区で1年間農業研修 平成29.4~ 姫路市兼田地区で就農 平成30.4~ 青年クラブHANDS加入 令和2.4~ HANDS会長に就任 現在に至る
【農業経営の状況】 経営面積:198a 経営内容:施設野菜 48a,露地野菜 150a 経営品目:こまつな、しゅんぎく、 しろな、ちんげんさい、ホウレンソウ、 かぶ、ナス、きゅうり、ブロッコリー、 海老芋 など 労働力:本人、父、母、叔父 出荷先:JA直売所「旬彩蔵」、市場、 スーパー、保育園、飲食店、ホテル など 関連HP: 食べチョクサイト 姫路市ふるさと納税サイト