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新規就農者の声Voice of seniors
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農業の枠を決めずに、もっといろんな格好の農業を目指せば伸びしろしかない。
取材日:令和6年6月
地元である豊岡市出石町に戻り農業に取り組む小川恭弘さんを取材しました。
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~きっかけは豊岡農業スクール~
農業に興味をもったきっかけは?
小川氏:父が兼業農家で水稲と電気屋ですが、僕は特に農作業を手伝うこともなく、父も継いでほしいと言わずで、全く興味がなかったんです。
さらに田舎も嫌いだったので、高校卒業後は大阪の学校に進学し、その後5年間ぐらい阪神間を中心に活動したんですが、地元を離れたことにより、逆に故郷の良さに気づいて帰ってきました。
帰郷後いろいろな出会いもあり、豊岡農業スクールに入ったっていうのが、農業を始めるきっかけになった大きな出来ごとです。
農業スクールの中で水稲と野菜を多角的に営農されている方のもとに勉強に行ったんですが、野菜についてそこで初めて触れ、年に何作も多種多様な野菜を育て、おいしいと言ってもらえるのがすごくいいなと思いました。野菜中心でやっていきたいなと思ったのが、農業をするきっかけですね。
~軌道に乗るまでの2~3年は経営が厳しかった~
1・2年目の苦労はどんな感じでしたか?
小川氏:単純に作物を計画通り作ることが難しかったです。野菜中心の経営は何かしらものがないと無収入になってしまうので、収穫物を切らさずに年間通して作っていくことが、まずは一番大変でした。
経営面とかの難しさは?
小川氏:作れるようになってきたら、次に売り先だと思うのですが、初期の頃は、売り先も少なく不安定だったので、しっかり売り先を考えないといけないと感じました。
ある程度栽培ができるようになり、売り先についても考え出してきて、さらにそこからブランディング、売り方、付加価値の付け方など徐々にできる範囲からやっていき、販売力もついていたのかなっていう感じです。
どういう風に変えていったんですか?
小川氏:野菜ってたくさんスーパーに並んでいるものなので、ロゴとイメージカラーのオレンジを、シールにして貼ったりして、まずベジーデプラスというものをブランディングしていき、その後、個々の野菜にも特徴があるのを作っているので、その特徴をより明確にしたり、あとは SNSの発信とかにも力を入れて知ってもらう 、認知度を上げていくということをメインでやってきました。
同じ野菜でもブランド名で違いをだす?
小川氏:そうですね。一度食べていただくとリピーターになってもらうことが多いので、最初の知ってもらうきっかけ作りが大事かなと思います。
イメージしていたことと、ご自分で始められてから実際にやってみてのギャップはどういうところにありましたか?
小川氏:自分が頑張った分だけ給料が増えると思ってたので、その時はワクワクしてたんですが、実際には思ってた以上に収穫ができなかったり、売り先が不安定だったりするもので、そこは本当に現実に直面した といいますか。やっぱ 甘くないなっていうのは非常に感じました。
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旬野菜のお取り寄せセット
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年数を重ねて来られて、どんな風に変わって来られましたか?
小川氏:そうですね。やっぱり栽培ができるようになりいろいろ考えられるようになったので、順序的には本当にそういった苦労をしてきて良かったのかなと今となっては思っています。
今、キッチンカーや加工品など、いろんなことに目を向けている中で、やっぱり農業が基盤なので、計画通り栽培し、美味しいものを作っていきたいとは常々思っています。手を抜いたらすぐ出てくるとこなので、去年よりも美味しいものを作りたい。その気持ちはずっと忘れずに行きたいと強く思ってます。
農業って本当に一次産業の底辺的なところですが、逆に言ったらまだまだ伸びしろがあるとすごく思ってまして、自分で農業って言ったらこの枠と決めずに、もっといろんな格好の農業っていうのもできるのかなと思ってるので、さらに農業をもとにいろいろな形を今後も模索していきたいと思っております。
~多くの仲間やスタッフと楽しく喜びを感じながら、働いています~
雇用する上で意識していることは?
小川氏:ありがたいことに、僕たちの意識としては本当にスタッフがあって農業が成り立っているので、感謝の思いはずっと伝えてはいるんですけど、お互い楽しくしたいなっていうのと、あと本当にありがたいんですけど、スタッフもアルバイトしてもらった方たちも、このベジーデプラスのことをめちゃくちゃ好きでいてくれるんで、自然と口コミなどで広げてくれたり、そうやって一番身近にファンがいてくれるのがめちゃくちゃ嬉しくて、やっぱりそこの気持ち、お互い忘れずにやっていってるってのが一つ大きなものかなと思ってます。
どうしても雇用で言うとお金とかで還元するしかないかなと思うんですけど、それ以外にもやっぱり作業であったり、一緒に考えながらやったり、本当に相談しながら、スタッフと一緒に作っていってるいうイメージです。
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スタッフさんと
~簡単な道ではないけれど、作物をつくることは社会を支える大切な仕事。絶対になくならないし、衰退させてはならない。胸を張って誇れる職です。志のある方 農業しようぜ!~
後輩へ送る言葉
小川氏:経営が苦しい面もありますし、現状今も農業だけでじゃあ食っていけるって、なかなか難しいところもあるんですけど、一緒にそういった志持ってやりたいって人は是非やって欲しいなと思うので、微力でも力になれたと思いますし、一緒に頑張りたいなって思います。
新規就農(令和6年6月取材時点)先輩DATA
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氏名:小川恭弘 (おがわたかひろ) 住所:豊岡市出石町 年齢:35歳 就農区分:Uターン
【就農から現在まで】 2014年 豊岡農業スクール入校 2015年 スクール卒業、 鞄会社の農業部門に入社 2016年 鞄会社退社、自営就農 2020年 体験事業開始 2021年 ブランディング本格化 2022年 JAたじま青壮年部部長 認定農業者 2023年 キッチンカーの運営 フィールドパビリオン認定 2024年 兵庫県農協青壮年部協議会副委員長
【農業経営の状況】 主な栽培品目:野菜、水稲 農地:野菜2ha(借地2ha) 水稲1.5ha(借地2ha) 施設:ビニールハウス1000㎡ 経営内容:白ネギ55a、キャベツ60a ミニトマト、キュウリなど 労働力:本人、妻、雇用1名、バイト4名 出荷先:個人発送、スーパー・市場、 直売、給食等